授業の目的

自然科学の法則や工学における現象を表現し, 解析するために用いられる, ベクトル解析, 複素関数論, 微分方程式について学習する. 工学をより深く学びたい学生に対して, 各分野の基本概念を理解するとともに, 基礎的な計算技法を身に付けることを目的とする.

達成目標

  1. ベクトル関数を理解し、その導関数と積分を計算できる. スカラー場ベクトル場が区別でき、勾配発散回転が計算できる.【20%】
  2. 線積分面積分を理解し、計算できる.【15%】
  3. 複素数の絶対値偏角を理解し、極形式に直すことができる.【10%】
  4. 複素関数を理解し、正則関数の導関数を求めることができる.【10%】
  5. 複素積分を理解し、計算できる。また、それを応用して展開公式を理解し、求めることができる.【15%】
  6. 常微分方程式とその解について理解し、変数分離形同次形1階線形などの微分方程式の解を求めることができる.【15%】
  7. 2階定係数線形微分方程式を理解し、その一般解を求めることができる.【15%】

以上の目標を学生が達成できるように, 講義を中心とした授業を行う.

修得する知識・技能

授業の内容 ※詳細は授業チーム (Microsoft Teams) を参照してください. 板書のメモ・ノートがダウンロードできます.

第1回 ガイダンス(授業の諸注意)
ベクトル解析(1) ベクトル関数の微分と積分  第2部第2章 §1   第2部第2章 §2   187〜189  / スライド
【授業前】空間ベクトルの基本ベクトル表示と成分表示を確認しておくこと. また, 1変数関数 $f(x)$の導関数, 不定積分, 定積分を確認し, 理解できなかった事項をノートに記しておくこと.
【授業後】ベクトル関数とその導関数, 不定積分, 定積分について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第2回 ベクトル解析(2) スカラー場の勾配  第2部第3章 §1   190〜194  / スライド
【授業前】第1回で学習した多変数関数の偏導関数を確認しておくこと. また, 空間ベクトの大きさと内積, 単位ベクトルを確認し, 理解できなかった事項をノートに記しておくこと.
【授業後】スカラー場とその勾配について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第1回小テスト】
第3回 ベクトル解析(3) ベクトル場の発散と回転  第2部第3章 §2   195〜198  / スライド
【授業前】ナブラ演算子$\nabla$の意味を確認し, 復習しておくこと. また, 空間ベクトルの外積の定義を確認し, 理解できなかった事項をノートに記しておくこと.
【授業後】ベクトル場の発散とベクトル場の回転が意味するものを確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第4回 ベクトル解析(4) 線積分  第2部第3章 §3   第2部第3章 §4(p.93〜96)   199〜203  / スライド
【授業前】ベクトル関数の導関数を復習しておくこと. また, 空間における直線のベクトル方程式を調べておくこと. そして, 原点を中心とし半径が$r$の円周上の点の座標を三角関数によって表現できるようにしておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】線積分が意味するものを確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第2回小テスト】
第5回 ベクトル解析(5) 面積分  第2部第3章 §4(p.96〜100)   96〜100 , ガウスの発散定理・ストークスの定理  第2部第4章 §1   第2部第4章 §2   204〜210  / スライド
【授業前】空間内の平面上の点$\mathrm{P}$における法線ベクトルとはどのようなベクトルを表しているか, 調べておくこと. また,「数学」(第7回、第8回)で学習した2重積分を復習しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】面積分が意味するものを確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第6回 複素関数論(1) 複素数の計算、 複素数平面(絶対値と偏角)  第3部第1章 §1   211〜217  / スライド
【授業前】複素数の四則演算(和、差、積、商)について確認しておくこと。また, $xy$平面上の点$\mathrm{P}(x,y)$の極座標$(r, \theta)$表示を確認しておくこと。理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】複素数の基本演算と極形式について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第3回小テスト】
第7回 複素関数論(2) 正則関数  第3部第1章 §3(p.128〜129)   第3部第2章 §1   第3部第2章 §2   第3部第2章 §3   218〜227  / スライド
【授業前】1変数関数$f(x)$について, その導関数の定義を確認しておくこと. また,「数学」(第1回)で学習した2変数関数$f(x,y)$の偏導関数を復習しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】関数の微分可能性と正則関数について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第8回 複素関数論(3) 複素積分  第3部第3章 §1   228〜230  / スライド
【授業前】$(x(t),y(t))$, $(a \le t \le b)$で表されるような点の集まりは曲線を表すことを確認し, 特に線分と円周はどのように表現できるかを確認しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】複素平面上の曲線とその曲線上での線積分について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第4回小テスト】
第9回 複素関数論(4) コーシーの定理  第3部第3章 §2 , コーシーの積分表示・グルサーの定理  第3部第3章 §3   231〜233  / スライド
【授業前】複素平面上の円周を$z(t) = x(t) + iy(t)$の形で表現できるように復習しておくこと. また, 正則関数の定義を確認しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】正則関数に対する積分定理について確認し、授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第10回 複素関数論(5) 複素関数の展開, 留数  第3部第4章 §1   第3部第4章 §2   234〜238  / スライド
【授業前】「数学」(第3回)で学習した実数値関数$f(x)$のマクローリン展開を復習しておくこと. 特に, 指数関数, 三角関数のマクローリン展開を復習しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】テイラー展開, ローラン展開, 留数について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第5回小テスト】
第11回 微分方程式(1) 微分方程式とその解  第1部第1章 §1   第1部第1章 §2   239(1), 240〜243 , 変数分離形  第1部第2章 §1   239(2), 244  / スライド
【授業前】1変数関数$f(x)$(特に, 指数関数, 三角関数)の導関数を求められるようにしておくこと. また, 1変数関数$f(x)$(特に、多項式や$1/x$の場合)の不定積分は求められるようにしておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】常微分方程式とその解, 変数分離形の微分方程式について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第12回 微分方程式(2) 同次形  第1部第2章 §2 , 1階線形・ベルヌーイの微分方程式  第1部第2章 §3   245〜249  / スライド
【授業前】関数記号を理解しておくこと. 例えば, $f(x) = x + 1$ のとき, $f(2x)$や$f(1/x)$はどんな関数を表しているのか理解しておくこと. また, 指数関数と対数関数の性質を復習しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】同次形, 1階線形, ベルヌーイの微分方程式について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第6回小テスト】
第13回 微分方程式(3) 2階定数係数線形同次微分方程式の一般解①  第1部第3章 §1   第1部第3章 §2   第1部第3章 §3   250〜253  / スライド
【授業前】整式の因数分解ができるように確認しておくこと. 特に, 解の公式を用いて因数分解する方法も確認しておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】2階定数係数線形同次微分方程式とその補助方程式について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
第14回 微分方程式(4) 2階定数係数線形同次微分方程式の一般解②
【授業前】微分演算子を用いて微分方程式が記述できるようにしておくこと. 理解できなかった事項はノートに記しておくこと.
【授業後】2階定数係数線形同次微分方程式の一般解について確認し, 授業中に解いた問題を解き直すことで知識の定着に努めること.
【第7回小テスト】

評価の方法と基準

教科書・参考文献について

科目の位置づけ(学習・教育目標との対応)

この科目は,「数学」の後続科目であり,「数学」の単位を修得していることが履修条件となる. 工学部生として最低限必要な数学の知識として,「数学」では2変数関数を主とした微分積分学と線形代数学を扱っている. この科目では, 先行科目の内容を踏まえ, 複素関数論, ベクトル解析, 微分方程式を学習する.

この科目を履修することにより, 工学の各分野で必要となる数学の知識を修得することができる.

履修登録前の準備

「基礎数学I」,「基礎数学II」,「数学」の内容を十分に理解していることが望ましい. 授業時間外課題に挙げたキーワードについてテキスト及び指定の問題集で予習を行うこと.