(平成28年1月6日 更新)

単位について

大学は卒業要件単位数の単位をとらなければ卒業できません.そもそも「単位」とはなんなのでしょう.それは大学設置基準の中にあります.

大学設置基準 第二十一条 各授業科目の単位数は、大学において定めるものとする.

 前項の単位数を定めるに当たつては、一単位の授業科目を四十五時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準により単位数を計算するものとする。

 講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする
 実験、実習及び実技については、三十時間から四十五時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。ただし、芸術等の分野における個人指導による実技の授業については、大学が定める時間の授業をもつて一単位とすることができる。
 一の授業科目について、講義、演習、実験、実習又は実技のうち二以上の方法の併用により行う場合については、その組み合わせに応じ、前二号に規定する基準を考慮して大学が定める時間の授業をもつて一単位とする。

 前項の規定にかかわらず、卒業論文、卒業研究、卒業制作等の授業科目については、これらの学修の成果を評価して単位を授与することが適切と認められる場合には、これらに必要な学修等を考慮して、単位数を定めることができる。

以上のように単位とは「これだけの時間をかけて勉強しました」ということを認定するものです.しかし,授業時間だけでは単位修得に必要な学習時間が足りません.一般的には,1コマの授業につき,1〜1.5コマ分の予習と1〜1.5コマ分の復習を必要とすると言われています.ただ時間をかければよいということではありませんが,授業以外の学習時間がまったくないようでは単位の修得は難しいでしょう.私の授業については予習よりも復習に重点をおいて勉強してほしいと思います.(次の「数学の勉強について」を参照)

また,大学の単位については次の論考も参考に.

数学の勉強について

  1. 数学ではいろいろな概念が出てきます.その概念の定義は何なのか,定義からすぐに導かれる性質はどういうものがあるのかを理解するようにしてください.
  2. 授業では必ずノートをとってください.そして授業の後で必ずノートを見返してください.ぜひやって欲しいことは,式変形において等号を挟んだ左辺と右辺がなぜ等しいのかを考えることです.授業のよい復習になるでしょう.
  3. 数学を理解する上で,実際に問題を解いてみることは欠かせません.ぜひ自分の手を動かして,たくさん問題を解いて欲しいと思います.そして常に「その問題は何を求めているのか(目的は何か)」を意識してください.
  4. 「問題の解き方だけを理解(暗記)する」という勉強法は絶対にしないでください.このようなやり方でも試験で合格点をとることはできるかもしれませんが,何も身につかないでしょう.答えを導き出すことは大切ですが,その道筋を人に説明できるぐらい理解することを目標にしてください.
  5. 検算できる問題は必ず検算をしよう.「検算のやり方(または,この計算がなぜ検算になるのか,ということ)がわからない」場合はその問題の解法(手順)を憶えているだけで,極めて初歩的で本質的なことを理解していない可能性があります.

授業に臨む姿勢

  1. 疑問に思うことがあれば,躊躇することなく質問をしよう.これくらいならわからなくても大丈夫だろう,と思わないこと.なぜ質問することが大事なのか,ということについては筑波大・竹山先生の「結局、自分はどうしたいのか。(の中盤 *** 以降)」をぜひ読んでください.
  2. 授業中の私語はやめよう.友人と議論することも大事ですが,周りへの配慮も忘れずに(小さい声でしゃべっているつもりでも,静かな教室では意外と耳障りなものです).
  3. 便利な道具は有効に使ってください.携帯端末による録音・録画・撮影も許可します(見ていいものは撮っていい.聞いていいものは録っていい.しかし,それを公開する場合は要相談).Twitter 等のSNSの活用も推奨します.
  4. 授業中のゲーム(および類似の娯楽事)は禁止します.携帯端末でゲームアプリを起動している,あるいはゲーム専用機が目に見えるところに置いてあるのを見つけた場合は,不合格とします
  5. 仏教において「智慧」とは三つの段階があり,まず聞き(聞慧)自ら考え(思慧)そして実行する(修慧)ことにより智慧は完成するといいます.大学の勉強も,授業に出席して教師の話を聞いただけでは不十分です.必ず自分の頭で考えることをしてください.そして,学んだことを友人と教え合うことによって理解をさらに深め,専門科目や卒業研究を通じて使える知識にしてほしいと思います.

工学部でなぜ数学を学ぶのか

「大学で勉強する」ということ

最後に,「数学ガイダンスhyper(技術評論社)」という本からの一節を紹介します.これは数学科の学生に向けて書かれたものですが,他の学部の学生にも有益でしょう.ぜひともこれを読んで今後の大学生活を有意義なものにして欲しいと思います.

本を読もう――自立への第一歩/山田光太郎

大学生のみなさん,大学で「勉強する」とはどういうことだと思いますか.(中略)講義を聴いて,ノートをとって,問題を解いて,試験前に公式や定理を覚えて,単位をとって,そんなことを思い浮かべるでしょうか.このような方法で学生諸君に情報を提供し,知識を得てもらう.それも大学が学生諸君に勉強してもらうためのサービスの一部ですが,ほんの一部でしかありません.

大学がもっとも自信をもって提供できるサービスは「本」と「人」.(中略)このサービスの特徴は「サービスを受ける側に明確な意思がないと提供されない」ことにあります.あなたが出向かなければ図書館は存在しないし,訪ねてみなければ教員は教壇の上の映像に過ぎません.なぜ,こんなに不親切なのでしょう.それは,大学が「知識を教える」ところではなく,学生諸君が「知的に自立する」ことを助けるところだからです.(中略)

そこで,皆さんには,自ら知識を得ることを体験して欲しいのです.(中略)本当に知りたいこと,本当に面白いことは誰も歩いたころのない道の先にあります.そういうところまで歩いて行くことができるために,自分の頭の使い方を身に着けてください.それが知的自立への第一歩です.